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逆三角形ピラミッド時代の組織運営 [人事1 組織改革]

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   戦後の日本は、”ベビーブーム”とよる人口増加と伴に「高度成長」を遂げて行きました。特に1960年代半ばから、後の”団塊の世代”と言われる世代が企業に就職しだすと、企業は美しい三画形の人口ピラミッドをなし、年功序列で年齢が上の層は、皆、管理職になり、儒教思想に基づいた年功序列システムが確立されました。これで、上意下達の命令系統がうまくでき、高速のビジネス推進力を持って、世界と戦い始めます。

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  そして、1991年にバブルが崩壊するまで、このシステムは世界に敵なしと言われるほどうまく機能します。折しもバブル絶頂期に大手企業は、過去最高の採用をし、バブル崩壊後も、企業の人口ピラミッドは、美しい形を保ったままです。その後の、日本経済低迷、円高による生産拠点の海外シフトなどにより、日本での従業員数は、減少傾向が続き、採用数も減りました。

    そのバブル世代層が、40歳代に入ってくると、今までのように、皆が管理職にはなれず、人口ピラミッドも逆三角形に向かいます。バブル以後の世代の層は、他の層に比べて少なくなり、「ロストジェネレーション(就職氷河期)世代ー30歳代」「ジェネレーションY(ゆとり)世代ー20歳代」と続きます。この傾向は、バブル世代が、その頃、当たり前になっている65歳定年で会社を離れる2035年頃、つまり、今から20年近く続きます。

  その後は、日本の人口構成比と同じような、縦長の長方形のような、ピラミッド(もはやピラミッドとは、呼べなくなってしまうでしょうが)になっていくのでしょう。

  さて、今から20年間くらい続くてあろう、逆三画形の人口ピラミッドは、今まで、日本、いや世界で経験したことのない組織構造であるわけです。しかも世界で戦う相手は、1970年代のピラミッド構造を有した新興国になります。

  どういう戦い方が考えられるのでしょうか。組織のコスト競争力を考えると、逆三角形の中高年層の賃金は、若手、中堅と同じような賃金水準まで抑えられますし、既にそうなってきています。それでは、その層(バブル世代)の、生産性はモラル低下(昇給、昇進ストップ)により、落ちてきます。本来、若手、中堅より経験が豊富な分だけ、生産性は高くなり、新興国と比べても比較優位になるべきなのにです。

  そういう層には、管理職以外に、専門職につかせたり、フォロワーシップを発揮してもらい、Unoffcialなリーダー(私は、釣りバカ日誌ではないですが、「宴会部長」も立派なフォロワーシップの発揮の仕方だと思います)として付加価値を出してもらうように企業は制度作ったり、キャリア研修などを行っています。他社に活躍する場を求めるのもありでしょう。

  また、企業にはイノベーションが求められています。通常、それらは、若手の20-30歳代によって起こされる等と言われており、だから、若い層は企業では大切であるといいます。しかし、そうでないピラミッド下では、一部の40歳代の人もそういうイノベーションを起こしてもらわないといけなくなります。そういう仕組み作りが急務なのでしょう。

  しかし、現実は、上記のような道を進んでいく人は、三割くらいの人でしょうか、二割くらいが管理職だとすると、その世代の半分の人たちは、本来、持っているはずの能力を出しにくい状況にあると言う事になります。

  モチベーション理論によると、「社会的存在価値」というのが重要で、本人がそれを感じられれば、昇給、昇進などの衛生要因よりも強い動機付け要因が刺激され、モチベーションが上がるとあります。

  この「社会における存在価値」「企業における存在価値」を常に認識できる仕組みが、今後の組織運営では必要になってくると思われます。

 給料や昇進ではなく、社員のモチベーションを高めるために、Recognitionは必要です。これは、人は、「認めてもらいたい」とう基本的な欲求があるからです。ここの制度設計が今後益々重要になっていくでしょう。

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PRESIDENT 2014年5月19日号

 通常、長期就労功労賞、毎年の業績優秀賞(社長賞等)は社員にやる気を高めますし、結婚、出産、入院、死亡時の慶弔金なども、会社と従業員との繋がりを深めることができると思います。
 これ以外にも「Thanks Card」のような、従業員どうしで、感謝の気持ちを伝える仕組みは効果があります。特に、受付や人事、総務など、業績が数字で表しにくい部署で、広くステークホルーダーがいるような職種の人達は、この仕組みの恩恵を受けやすいです。

 会社での繋がりを強くするカルチャー作りも益々重要になります。元々、日本企業はそういうのは得意でしたが、現在は、ベンチャー企業の方がその必要性から盛んである気がします。バブル世代は本来、イベント系の活動は大好きな世代なので、いい刺激を必ず与えると思います。

 今、日本企業は、これらを真剣に考えて、その手法を考えないと、この世代が、「新種のロー・パフォーマー」となり、企業の成長を抑える要因となりかねないと思います。

 参照;野田先生の「定年前にたそがれない 50代からの人生リセット術」


 


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