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KABUTERIA [D4 食品業界]

【朝日新聞 天声人語 2016年6月17日】

時価総額という指標がある。発行済み株式数に株価をかけ、企業価値を示す数字として使われる。だがグーグル級の企業の価値が50兆円だの60兆円だの言われても、縁遠い身にはピンと来ない。

即席麺でおなじみの日清食品ホールディングス経営陣もこの問題にぶつかった。「5年後に時価総額をいまの倍の1兆円に高める」という目標を掲げたものの、社員に自社株の動きを意識してもらうのが難しい。

生まれたのが社員食堂「カブテリア」だ。自社株の動きを掲示し、株価次第で翌月の昼食メニューが変わる仕組みを考案した。月末の株価がその前月の平均を上回れば、1回か2回「ご褒美デー」を設け、豪華な料理を出す。下回ると逆に寂しい料理が出る。

新装された後の4月末、株価は下がった。翌月の「お目玉デー」に出たのは揚げパン、牛乳、おでん、冷凍ミカン。昭和30年代の学校給食を模した。経営陣にも反省してもらうため、執行役員2人がエプロンを着けて配膳にあたった。

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同社の株価は年初から下落傾向が続いた。開店が早ければ4カ月連続のお目玉となっていた。この先もし、世界同時株安の波が押し寄せたらお目玉が延々と続く。社員の体重も減らないかと余計なことを案じた。

カブテリアはきょうが初のご褒美デー。5月末の株価好転を祝い、築地からマグロを取り寄せる。社員の目の前で解体してみせるというから何ともうらやましい。

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