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企業年金 [人事5-CSR・健康経営・人事部・労務]

 次は3階部分の「企業年金」です。公的年金だけでは、足らないということで、企業が年金を運用して福利厚生をやる趣旨です。

 退職金は、企業が社員の労をねぎらうプラスアルファの報奨金である、という考え方があります。この考え方は、退職金の始まりとされる江戸時代の「のれんわけ」に遡ります。丁稚奉公の年季があけた丁稚さんへ、営業する権利を分けてあげたり、独立資金を渡してあげるのれんわけには、何よりも功労・慰労の意味がありました。

 一方、退職金は「賃金」の一部だ、という考え方もあります。この考え方は、物価がどんどん上がった高度成長期、物価上昇に合わせてお給料もあげろ!という時代に生まれました。企業の多くは、物価上昇と同じスピードで給料を値上げすることができませんでした。そこで、その分を社員が退職するときに退職金という形で支払うことを考えるようになったのです。そこから、退職金は「賃金の後払い」という側面を持つようになりました。さらにその後、日本人の平均寿命が延びる中で、退職金は、社員の「老後の生活保障」という意味も持つようになりました。

 ところで、「賃金の後払い」という意味での退職金は、お金を払う時期を遅くするだけで、退職時にはやはりたくさんの資金が必要でした。そのため、企業の中に、退職金を分割して支払う「退職“年金”」という考え方が出てきました。この退職年金は、単に退職金を分割で支払うということではありません。企業は一度にまとめて支払わないですむので、その分の利息に相当するお金をプラスして支払うことにしました。これが、「企業が社員のために年金を支払うしくみ」である「企業年金」の始まりです。このしくみには企業側のニーズもありましたが、平均寿命が急速に延びる中、「老後の生活保障」という社員側のニーズとも合致し、普及することになりました。1949年が始まりです。

 しかし、高度成長期からバブル期には絶大な力を発揮した企業年金でしたが、その後、バブル崩壊とともに陰りが見えてきました。

 【確定給付企業年金】

 DB制度:Defined Benefit Plan)は、給付額が、制度資産の利回りに直接基づかず、加入者の勤務期間や給与などの要素に基づく計算式によって規定される年金制度のことである。企業が独自に設定する企業年金であり、確定給付企業年金法にもとづいて運営が行われます。

 【厚生年金基金】

 これは、国の厚生年金の一部と企業独自の企業年金を合体させて制度運営しているものです。昭和41(1966)年に発足し、わが国の企業年金制度の中核をなしています。具体的には、厚生年金の一部を国に代わって支給する(代行部分)とともに、企業の実情に合わせて上乗せ給付を行う(プラスアルファ部分)ことで、従業員により手厚い老後所得を保障しています。事業主が負担する掛金は全額損金として扱われ、加入員が負担する掛金は社会保険料控除の対象となるなど、公的年金と同様の税制上の優遇措置が認められています。

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公的年金の支給額は、

 【確定拠出年金】

 DC:Defined Contribution Plan)とは私的年金の一つで、現役時代に掛金を確定して納め(拠出という)、その資金を運用し損益が反映されたものを老後の受給額として支払われる年金。その性格上、将来の受給額は未定である。「日本版401k」とも言われる。転職先に拠出した資産を移動可能。確定拠出年金は公的年金に上乗せする企業年金の一つとして01年に始まった。従業員が投資信託などの運用商品を自ら選び、運用成績が良ければ将来の年金額が増える。掛け金が非課税になる税制優遇がある。政府は12年の成長戦略で20年に2万社の導入を目標に掲げていた。


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厚生年金 [人事5-CSR・健康経営・人事部・労務]

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 「企業年金」とは、企業が公的年金の厚生年金とは別に従業員のために任意で設ける年金制度。日本の年金は3層構造で、全国民に共通する国民年金が「1階部分」、会社員らが報酬に比例して受け取る厚生年金保険などが「2階部分」。これらの公的年金に上乗せする「3階部分」が企業年金などの私的年金です。

 「国民年金(老齢基礎年金)」20歳から60歳になるまでの40年間の全期間保険料を納めた方は、65歳から満額の老齢基礎年金が支給されます。満額は、平成27年4月分からの年金額 780,100円/年 65,000円/月 です。大卒の方は、20歳の頃は、まだ学生で、学生納付特例制度を受けて年金を払わないので、60歳からは満額支給ではありませんので、約70万円/年(5.85万円/月)くらいになります。また、最大5年(他年金の権利が発生するまでの間)の繰上げ・繰下げ支給制度もあります。企業労働者は厚生年金に加入しなければならず、その中に国民年金も含まれています。厚生年金は、掛け金も受給額も給与などの月額報酬額を元に計算されますが、国民年金分は、掛け金も受給額も一定ですので、この部分は報酬に対して一定と言えます。

 「厚生年金」厚生年金は、会社(法人)にお勤めの70歳未満の方は、基本的に全員加入しなければなりません。保険料は、2004年の政府の年金改革で、同年から毎年0.354%ずつ引き上げられ、2017年(平成29年)以降は18.3%とすることが決まりました。(「保険料水準固定方式」といいます。) 会社と本人が半分ずつ負担します(労使折半)。

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http://think-nenkin.jp/payment/

   サラリーマンや公務員の妻(配偶者)が第3号被保険者となります。第3号被保険者は、年金保険料を納めることなく、国民年金加入と同等の権利が得られます。平成25年度の国民年金の月額保険料は約15000円なので年18万円ほどの保険料が事実上免除されていることになります。(配偶者(第2号被保険者)が保険料負担をしているという点もありますが、第2号被保険者の保険料は配偶者の有無によって変化はないため、第3号被保険者を持たない世帯がその分を負担していることになる)。

    さて、肝心の受給額ですが、年金の受給額は2014年現在「物価スライド」と「マクロ経済スライド」と呼ばれる二つのスライド制度によって変更されることになっています。2004年までは「物価スライド」といって賃金や物価などの伸び(消費者物価指数)を元にして年金額を変更してきました。たとえば、物価が2%上昇したら、それに応じて年金受給額も2%上昇すると言った具合です。しかし、それでは、破綻してしまうので、マクロ経済スライドがとられることになっています。これは「公的年金の被保険者の減少率、平均余命の伸び」を調整するために年金給付額を減らすというもので、2023年までは年0.9%の調整が行われるようになっています。つまり、物価が上昇した場合であっても、物価スライドによってその物価上昇分は全部年金受給額に反映されるのではなく、マクロ経済スライド分(0.9%)は伸びが抑制されます。また、マクロ経済スライドは「名目年金額は減らさない」としています。つまり、物価上昇(下落)が0.9%以下の場合には年金の伸びがゼロにとどめられます。

  そして支給開始は、基本65歳からになりました。妻が65歳未満の場合は、「加給年金」を申請(18,500円/月)できます。しかし、夫がリタイヤしている場合は、妻が60歳までは、第1号被保険者になり、国民年金保険料を払わなくてはなりません。

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 「遺族年金」老齢年金受給者の夫が亡くなった場合は、妻は、自身の「老齢基礎年金」に加えて夫の「老齢厚生年金」の3分の2が受給できます。約25万円の年金が15万円になるということです。妻が65歳未満の場合は、自身の「老齢基礎年金」はもらえないので、65歳にあるまでは、「中高齢寡婦加算」という制度を使います。加算される額は、月額48,300円(平成26年度)です。

 今年の国会には提出が見送られましたが、「年金改革」の議論は進んでおり、今後、改革されるようです。

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