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日本の「復元力」 [D2.日本史・世界史・近未来]

日本の「復元力」―歴史を学ぶことは未来をつくること (MURC BUSINESS SERIES 特別版)

日本の「復元力」―歴史を学ぶことは未来をつくること (MURC BUSINESS SERIES 特別版)

  • 作者: 中谷 巌
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2010/05/07
  • メディア: 単行本

 

●ルーツ喪失第一弾【薩長史観】:明治維新の際、薩長両藩は、自分たちの討幕活動を正当化するために、過去否定、すなわち、「江戸幕藩体制の否定」をした。西洋の価値観を取り入れる=文明開化。この時に「西洋が先進国、日本は後進国」というコンセプトが産まれた。

●ルーツ喪失第二弾【自虐史観】:太平洋戦争終戦後、GHQによる戦争以前の日本の全面的否定、アメリカンデモクラシーの導入。「大東亜戦争は軍事力においてアメリカが強く、日本が弱いから負けたというのではなく、戦前日本の軍国主義という道徳的に邪悪な思想が西洋流の民主主義という正義の前に敗れ去った」「道徳的に間違っていた」という考えを植え付けた。

●江戸時代は、「支配階級による非支配階級の搾取」という人類の歴史上普遍的な現象が起こらなかった時代であり、富は各階級にうまく配分され、庶民文化が花咲いた。識字率も世界最高クラス。武士は食わねど高楊枝」。安心・安全な庶民生活。

●寺子屋:庶民が武士をの先生を呼んで作った。1万から2万か所。コンビニは4万店、人口は今の四分の一なので、コンビの数感覚と同じ。

●江戸時代がこれほど平和で文化的に栄えていたので、明治維新後、急激な近代化が達成できた。

●何故、江戸時代が庶民文化だったのかは、武家社会だったからである。平安時代の貴族社会は、手を何も汚さない貴族が支配する社会で、搾取社会えあるが、武士は、もともと農民出身で、実務家集団であるわけである。

●日本民族は異民族に征服された歴史がない。

●明治の近代化が、今までの日本の伝統や文化を捻じ曲げる形で進められたので、そのギャップに悩む文化人は多かった。夏目漱石、森鴎外、内村鑑三などである。特に内村は、アメリカに留学し、そこで会った敬虔なクリスチャンがあまりにも功利的であることを知り、ショックを受けた。彼は道徳観のある日本人のほうが、よりキリスト教的であろうと考えた。

●明治、終戦の時に、価値観の変更を余儀なくされ、免疫機能を失い、外部の文化や価値観を吟味することなく受け入れるように日本人はなってしまった。

●たとえば、日本人は、伝統的に「性善説」を支持していたので、細かいルールを決めなくても秩序は保たれたが、外部の「性悪説」の考え方が輸入され、受け入れたので、様々なルールが決められ、それを守るようにされた。しかし、それは、それ以外の事は守らなくていいという厄介を生み出した。

●ギリシャ・ローマ人が築き上げたヘレニズム文明を、西洋人はその後それをないがしろにしてしまった。それを引き継いだのが、イスラムで、イスラム文化を作り上げた。そして、西洋からの十字軍が遠征した時に、それを吸収しだした。そしてそれをルネッサンスとして西洋で開花させた。そして西洋は近代化へと世界に先駆けて突き進んでいく。

●現代になって、人は「心の空白」に悩み始めた。近代化の過程で、自然から疎外され、「人間にとって幸せとは何なのか」問われ始めた。アメリカでは、今、4ー5000人が集まる「メガ・チャーチ」というエンタテインメント化した宗教現象がブームを呼んでいる。

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●近代合理主義が切り捨ててきた自然への畏敬の念を取り戻し、個人のエゴに抑制をかけ、合理主義精神では理解しがたい非合理で、不条理な世界への理解を深めるといったかなり難易度の高い精神革命が必要とされているのである。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

中谷/巌
三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長、一般社団法人「不識庵」理事長・「不識塾」塾長。1942年大阪生まれ。1965年一橋大学経済学部卒業。1973年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。同大学で教鞭をとった後、1984年大阪大学教授、1991年一橋大学教授(~99年)。1993年細川内閣首相諮問機関「経済改革研究会」委員、1998年小渕内閣首相諮問機関「経済戦略会議」議長代理。1999年ソニー取締役(~2005年。03~05年取締役会議長)
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83 books in 2014

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