平成三十年(上)(下) [D2.日本史・世界史・近未来]
今から10年前に書かれた著者得意の「未来小説」です。携帯端末や高齢化の予測はかなり当たっていますね。しかし、著者の歴史から物事を論理的に学び取る手法はさすがだなと思います。歴史というのは、そういうふうに学ばないといけないということですね。
最近、内閣人事局というものができ、官邸主導で審議官以上600人の人事が行われるようになりました(女性局長4人誕生)。今までは、官僚のいいなりで、各省の利益を追求した人が出世するようになっており、省庁間の交流を妨げ、縦割り組織になっていました。この小説では、平成三十年になってやっと、官邸主導になりましたが、現実は四年早かったわけですが恐ろしい精度の予測ですね。
●政府行政機関は人体に例えれば胃腸です。手足のように目に見えた働きはしないが、人間が生きる上では最も大切なもののひとつです。胃腸が健全な時には、あることさえ気が付かない。胃腸の存在を意識するのは、痛むかむかつくか、具合の悪い時。政府行政機関もそうで、国民にあることさえ意識されないときこそ、健全である。
●2014年は、平成26年、昭和89年、大正103年、明治147年。
●日米開戦の時に、当時の高齢者の大半が陽気な高揚感を持ってこのニュースを聞いた。1930年代の老人は、老人であるが故に備えた経験と知恵を発揮しなかった、つまり老人の枠割を果たさなかった。なぜなら、若者に好かれようとして、自分のしたいことより好かれることを、自分の好みより、子供達の世代に評判いいことをやろうとした。
●そのために自分たちの作った概念と組織と制度を時代遅れになってきているのを知っているのに
立派なものだと言い続けた。戦争中は、本当は早く無事に帰ってきてほしいのに、お国のために手柄をたてよと言っていた。
●高齢者は、年金生活者ゆえにインフレとモノ不足を恐れる。
●がしかし、高齢者は、一番社会のしがらみがいので、正論を唱えなければならない。特に近年の高齢者は資産もあり、人数も多く、一昔に比べて絶大なパワーがある。
●今の高齢者は、「金持ち」「知恵もち」「時間もち」である。
内容(「BOOK」データベースより)
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