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イノベーションと組織 [人事2-コンピテンシー・イノベーション]

  1970,80年代の高度成長期は、日本企業は、勝ちパターンを掴んでいましたので、それを信じて、一直線に進む軍隊的な組織を必要とし、モノカルチャーの日本ではうまくそれが機能しました。

 多様性に富んだ組織は、社内の意思統一に時間がかかるという「取引コスト」が発生するので不要でした。しかし、そういう時代からイノベーションを必要される時代になると、モノカルチャー組織ではイノベーションが起こりにくくなります。   

 ローマ帝国は、人種に関係なく、医者や教師などの特技があれば、市民権をもらえたそうです。皇帝でさえも生粋のローマ人はネロまでで、その後はもう出身地も生まれも多種多彩で、アラブ人の皇帝までいたそうです。こうすれば、国は繁栄するんでしょう。米国は、今でも同じことをやってますよね。モンゴル帝国も領土を拡大しては、いろんな制度や文化をハイブリッド化させました。 

■創発(多様性) 

 多様性に富んだ人がいる組織では、違った考え方が出やすいとよく言います。そして、その違った考え方が他の人にも影響を及ぼして面白いアイデアがでやすいと。いわゆる「創発」が起きるということですね。若い人や女性、外国人が組織にある程度いるほうがいいと言います。企業のダイバーシティ活動はこの観点も考慮にいれています。「尖った人材」というのも多様性の一つです。 

■結合(ネットワーク)  

 さて、多様性に富んだ人がいても、お互いにコミュニケーションをどんどん取らないと考えをぶつけることができません。そういう意味では、そういう機会や場が必要となります。ホンダの「ワイガヤ」という仕組みはこれを意識しています。外部の人とのネットワークも重要でしょう。丸の内朝大学のようなものもあり、そこらへんを意識しているサラリーマンとかが朝ネットワークをはかったりしています。 

■応用  

 いいアイデアはそう簡単にはできません。よく言われるのが、ある方法を違った局面に応用するのがいいとか言います。米国では、トヨタのカンバン方式を組み立て製造業だけでなく、病院のプロセス改善に使ったとかのやり方です。 企業はこういうことに気がついていて、社内異動を促進しています。会社によっては、入社後3年目、7年目とかに強制異動させる仕組みをもっているところもあります。 

■挑戦(リスクテイク)  

 さて、多様性のある人がたくさんいて、ネットワークがはかられ、ある考え方を応用しだしたりすれば、いいアイデアが生まれ、イノベーションが起きるのでしょうか。 いいアイデアが生まれてもそれを実行しようとしないと何も生まれません。よく「会社や部はもっとこういうふうにすべきだよな」とか言って、自分では何もやらない人達がいます。「評論家」と揶揄されている人達です。 何か実行しようというときは、何か変革しなければならなかったり、成功するかどうかもわからなかったりしますので、チャレンジが必要になります。企業内ではよく「変革、トランスフォーメーション、チェンジエイジェント」という言葉か叫ばれます。しかし、挑戦するとリスクもありますので、往々にして、リスク回避に皆動き、アイデアを実行しない場合がよくあります。「梯子を外されたくない、地雷を踏みたくない」とかですね。  

 変革の方程式というのがあります。 D x V x F > RD(Dissatisfaction with the current situation)V(Vision for the future)、F(First steps that are achievable)、R(Resistance to change)つまり、現状の課題認識と将来のあるべきビジョンとそのための達成可能な第一手が明確で、その大きさが変化に対するあらゆる抵抗に勝れば、変革は成功するというものです。  

 これも至極もっともですが、私は、このリスク自体を下げれないかと思います。そのキーフレーズは、「赤信号、皆で渡れば怖くない」です。周りが皆リスクをとって、イノベーションやろうとしているのを見ると「自分もちょっと、、。」と思うでしょと言う事です 

■風土  

 企業は、イノベーションを起こすために、いろいろな制度を取り入れたりしています。グーグルの20%、3M,東レ(研究者)の15%の就業時間をイノベーションに使ってよしとする制度です。ホンダは、「失敗表彰制度」-失敗してもオリジナリティをたたえて表彰する制度を取り入れています。通常の社内表彰制度は、今、どこの企業でもやっています。 

■リーダー  

 皆がイノベーションを起こそうと様々なアイデアを出しだし始めた時、それをサポートおよびリードするリーダーの存在は、大きいものです。 

■仕組み  

 さあ、多様な組織で皆がネットワークしだし、応用力を持ってイノベーションを起こすアイデアをを思いつき始めます、そして、それにチャレンジする風土の中、イノベーション創出リーダーのサポートやリードがあるとイノベーションがたくさん早く生まれるでしょうか?  答えはイエスですが、もっと直接的な仕組みも必要と考えます。たとえば、「社内ベンチャー制度、社内新規事業推進室」のような組織や制度です。 

■人事とイノベーション 

 今回のブログは、ヘイ グループの山口 周さんの「イノベーションを起こす組織」の論文からヒントを得て書きました。  

第一回;日本人は創造性に欠ける?イノベーションにまつわる誤解 

第二回;イノベーションを生み出す組織とは(上)「明確な方向感」「多様性」「風通しの良さ」 

第三回;イノベーションを生み出す組織とは(下)「明確な方向感」「多様性」「風通しの良さ」 

第四回;イノベーティブな企業創生のために人事部には何ができるのか 

 論文の最終回の最後に下記の記述がありました。 

イノベーションは意図的に生み出そうと思って生み出せるものではない。我々(人事部の事だと思います)に出来ることは、イノベーションが生み出されやすい土壌を整え、種をまき、その種に光と風と水を適切に注ぎ、嵐や日照りから守るということだけである。イノベーションというのはビジネスの世界に咲く「大輪の花」なのである。そしてその花を咲かせるために必要なのは、わかりやすい一つの打ち手ではなく、土壌を始めとした様々な組織・プロセス・人材の要件を整備するという包括的な取り組みなのである。

全く同感です。

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