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人事部御中 [人事5-CSR・健康経営・人事部・労務]

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  私が30年前に会社に入ってから、いろんな職種の中身が世の中の変遷と伴に大きく変わりました。たとえば、ロジスティックです。入社したころは、そこらへんの仕事は、「倉庫業」のような労働中心の仕事でしたが、それが物流とかロジスチックと言われるようになり付加価値がついてきました。今は、SCM(サプライチェーン)などと言われ、SCMを制したものがビジネスで勝ち残るといわれるほど、企業の根幹の仕事となってきました。

  アフターセールスサービスの仕事も時代と伴に大きく変わりました。アナログの時代は、優秀なテクニシャンが修理をしており、その技術の向上が大きなポイントとなってきました。今はデジタルの時代になり、チェンジニアと揶揄されるように、技術的専門性がなくてもコンポーネントを入れ替えるだけで修理ができてしまうようになり、また、不良品のコンポーネントを部品ベンダーに送り返すようなオペレーションが必要となり、アフターサービスの担当者は、物流の知識が求められるようになってきました。

 販売でも、お店経由での卸売り小売りという流通パターンが、ネット販売という店舗を経由しない売り方が出てきたり、ネットワークサービスと組み合わせた売り方など、昔のノウハウが通用しなくなってきています。

 こういうふうに、20年くらいで、仕事の専門性がガラッと変わると、常に個々もトランスフォームしていかないと、新入社員からやっとマネジメントになったときに、今までやってこなかったことが求められ対応できなくなってしますことが、いろんな仕事で起こっています。

 同じようにマネジメント、特に日本企業の人材マネジメントにも大きな変化があります。ほとんどの日本企業は、70年代から80年代と、高度成長を遂げました。売り上げ、利益も年々拡大していき、従業員の給料もどんどん上がっていきました。そして、終身雇用、年功序列、家族経営もこの状況下では、本当にうまく機能しました。慢性的な人不足が若い人にも早くから管理職につかせる要因ともなり、人材育成施策などしなくても、現場で十分勉強でき、皆がキャリアを積める幸運にめぐり合いました。よって、マネジメントは、「がんばれ!」と言っていればよかったわけです。皆、残業も当たり前のようにし、「モーレツ社員」や「エコノミック・アニマル」といわれたのもこのころです。離職率も極端に低く、磐石な組織が構築されました。そして、皆、「Japan as No1」を信じて疑わなくなったわけです。ちょうど、今の韓国企業が同じ状況にあると思います。

 それがバブルがはじけた90年代前半から「失われた20年」に突入すると、今までの勝ちパターンが継続できなくなりました。新入社員の採用もかなり抑えられ、リストラが日常茶飯事になり、給料も増えず、ポジションも少なくなって簡単に昇進できなくなりました。鬱病の社員が増えてきたのもこの20年間です。さて、家族経営でやっていた、社員旅行や運動会、盆踊り大会などもなくなり、社員のモラルを上げるのも大変になってきました。

 ここで、マネジメントは、高成長時代の経営から低成長時代の経営へとトランスフォームしなければならないのですが、今の時期のマネジメントの若いころは、高成長時代のマネジメントで、基本的には、「環境が人材を育てた」わけですので、そういう環境がないときにどう人材を育てていくのかの経験がありません。よって、自分が言われたように「がんばれ!」と叱咤激励しても、うまくいかなくなってしまったわけです。

 さてそこで、人事部は、このトランスフォメーションをリードしてあげないといけません。日本より早く低成長に入った欧米では、多様な人種構成というのもあり、マネジメント理論が早くから確立され実行されてきました。よって、ことマネジメントに関する限り、日本の管理職のマネジメント力は欧米のそれと比較して低いと言わざるおえません。更にいうなら、マネジメント理論をちゃんと学ぶ機会も与えられていない結果です。よって、人事部が管理職にそういうトレーニングをすべきなのですが、注意すべき点があります。

 そもそも、人事部に入ってきた人は、人が好きで、ヒューマンコミュニケーションに優れ、マネジメント理論にも造詣の深い人の集団であるはずですが、この人たちも、同じような時代の変遷に翻弄されています。高度成長期の人事の大きな仕事は、賃上げなどの労使交渉でした。組合対策などが大きな責任としてのしかかっており、また、毎年の新卒の大量採用も重要な仕事でした。よって、管理職のマネジメント研修などは、プライオリティーが低かったわけです。その証拠に、人事部の組織自体がうまく人をマネジメントしているかと言ったら大いに疑問です。自分たちができない事を他にやれと言ってもうまくはいきません。

 よって、まず人事部がトランスフォームしなければならないと思います。人事部の組織を活性化させ、皆がモーティベートする組織にしてから、それを他の管理職にもトレーニングするといった手順が必要だと思います。


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Tom

全く同感です。マネジメント能力を経験によって獲得できない昨今では無理やりでも研修という形で学ばせるべきでしょう。「隗より始めよ」ではありませんが、人事自身が意思を持って変革の旗手になることは肝要です。
by Tom (2012-09-22 11:24) 

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