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パゴタの秘密(3) [C2 ブログ(書き)]

====ミャンマー、シャー族の村====

ふと目を開けると、彼女は、「日食」のような黒い大きな目をした、男の子が彼女を心配そうに覗いているのが、見えた。

「ここはどこ?」「私の友達はどこ?」

と聞くと、子供は、だまって走り去り、母親らしき女の手をひいてきた。その女は、

「気が付いたの?」

と妙なアクセントでいった。

そのアクセントから、彼女は、ここはタイではないなと思った。アクセントから、ここは、三角地帯のもう一つの国、タイ語とよく似ているラオスでもない、残る、もう一つの国、ミャンマー側にきたのであろうと思った。

とにかく、意識は取り戻したが、打撲が激しく、動ける状況ではなかったので、しばらく世話になるしかなかった。彼女の一行は、全員、あの悪魔の口に食べられてしまっていたのが後でわかった。

彼女は、身長は170cm,体重は、60kgと男性と同じくらいのがっしりした体格をしており、冒険好きよろしく、格闘技もやっており、回復はきわめて速かった。言葉も覚えてきた。元々アクセントは違うが、似たような言葉なので、こつさえ掴めば、母国語と同じくらいのスピードで話すことができた。

2週間もたつと、この村の状況もよくわかるようになりだし、ここが、うわさにきいていた、シャー族の村で、この村の生計は、「ケシ」栽培で成り立っており、例のプーリの組織がそれを買い取るという仕組みができあがっていることがわかった。政府下に入っていないので、電気も水も自前で調達する仕組みになっている。

麻薬王プーリが、この事実上の自治区の指導者となっており、病院、学校、全ての社会インフラを整えている。

よって、村人は、この麻薬王を神様のように崇めており、犯罪もなく治安のいいすばらしい「国」となっているのであった。

チースは、タイで聞いていた、この地帯のイメージや、麻薬王プーリのイメージが、事実と全く違うこと驚愕した。

タイも王制をとっており、彼女その一員であるが、政治に直接関与する王というのは、本来こういうものであると思った。

そんな時、救われた家族の長女、シールと話すきっかけがあった。

「あなたも、「ケシ栽培」をしているの?」

「いいえ。教師だったのよ。それでね、、、、。」

彼女は、学校の体育の教師をしていたのであるが、チースと同じく、長身で体格もよかったので、プーリの親衛隊の一員となっていたのである。

プーリの親衛隊とは、リビアのカダフィ大佐の親衛隊と同じく、屈強な女性だけで構成されており、始終、プーリの周りに円上に囲むように警備して、プーリの身の安全を保障する、文字どおりのボディーガードである。しかも、なぜか皆、美人ばかりである。

プーリは、背が非常に低いので、彼女らに取り囲まれると全く外からは、見えなくなり、プーリの命をねらうスパイナーを困らせていたのである。

「あたなたも、体格いいし、格闘技の経験もあるなら、親衛隊に入らない?」

とシールが言った。

この村は、電話などの通信手段は、なかったので、タイに彼女の消息を連絡する方法はない。たとえ連絡できても、今回のような大事件を起こしたので、ただでさえ、勘当寸前のチースには、すぐタイへ戻る気はなかった。根っから冒険好きの彼女には、この話がすごく興味があり、まじかで、プーリの政治活動なども見れると思い、入隊することにした。

いくつかの、実技試験を受けた後、彼女には、さほど困難なものはなかったが、チースは、入隊を許可された。

プーリは、「麻薬王」の名前からは、想像もできないほど、こじんまりとした善良そうなおじさんであった。しかも、やっていることは、政府軍との戦いより、この自治区の政治であり、橋の土木現場の視察や、自家発電所の視察など、国中をあちこちと精力的に動き回っていた。当然、彼女たちも、彼と行動をともにするので、チースも自治区中を移動する毎日であった。

ミャンマーは、敬虔な仏教国であり、この地方も同じであった。パゴタは、この地方にも大小合わせて、数百はあった、その大型のパゴタ、数十塔に、実は、対ミャンマー政府にたいする攻撃のためのスカッドミサイルが仕組まれていたのだ。プーリが発射ボタンを押すと、ミャンマーの主要都市が全て壊滅できるほどのものであった。パゴタの中に隠れているので、村人は知らないが、ミャンマー政府の上層部は、知っていた。よって、カレン族を武力鎮圧が現在のところできず、プーリは、政府軍のことは、気にしないで、国政に没頭できるのである。

先に話したように、アメリカにとって、このプーリは、「アメリカを毒する人物」であり、なんとしても、この「ケシ栽培」をやめさせなくてはならない。そのためには、プーリを抹殺しなければならなかった。そこで何度もCIAを送り込んだが、彼らの防御は、半端ではないし、その防御網を突破できても、最後には、親衛隊の文字どうりのボディガードにはばまれ、親衛隊の一人を暗殺したことが一度だけあっただけで、プーリの姿をとらえることすらできなかった。


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