2020年からの警鐘 [D2.日本史・世界史・近未来]
96年秋より、米英の優良銀行(JPモルガン、クレディスイスなど)が、「倒産保険(クレジットデリバティブ)」を邦銀にかけだした。
橋本内閣は2001年を目標とした「6大改革」をうちだす。
1行政
2金融システム(日本版ビックバン)
株式委託手数料の自由化などその内容は「欧米の70-80年代型」
欧米は電子マネーにも対応する「2001年のビックバン」に動いている
(米国政府は電子マネーの普及に向け、警察に不正防止のための暗号解読権を与える備にはいっているが、日本は、暗号技術や電子マネーに関する議論は省庁間の縄張り争いの段階)
ある上位都市銀行の予測では、行員数が21世紀前半は、機械化や電子化により、行員は今の5分の1ですむ。銀行業務は全く姿を変える。しかし、現実にこの変化を長期計画に盛り込んでいる銀行は少ない。
欧州統一通貨(ヨーロ)が流通し始めると「マルク」より強くなり、「ドル・ユーロ時代」に入り「円」はローカル色を強める
3 経済構造
4 社会保障
5 財政構造
6 教育
96年11月の米国政権の新アジア政策の内部文書報告
日本の行政改革や規制緩和のペースはとても遅く、世界のスピードについていけず、衰退の道を歩む可能性がある
シェルグループの2020年までの長期予測
今後二十数年を改革しないと生き残れない改革競争の時代で、日本は、その競争の最後尾についた段階
豊田章一郎・経団連会長の97年1月3日の新年メッセージ
超高齢化社会が目前に迫り、現状を放置すれば、日本経済は破局に向かう
1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025
年少人口 21 20 19 19 18 17 16
老年人口 19 23 26 30 33 34 34
年少(0-14歳)、老年(65歳以上)
1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025
経常収支 10 12 15 13 8 5 -1
実質成長率 2.5 2.6 1 0.5 1 0.5 -1
日本の総人口は、2008年から減少に転じる。2020年には国民の4人に一人が65歳以上の高齢者という世界最高国になり、14歳以下の子供の数は、現在より3百万人減って高齢者数の半分という少子国になる。
現状の仕組みを変えずに放置すれば、財政・年金などの既存のシステムは、破綻。2020年の労働者一人当たりの国民負担額(税金と医療、年金など社会保障負担の合計額)は618万円と95年(209万円)の約3倍になる。
構造改革が進まなければ、2024年以降は、実質GDPの成長率が毎年マイナスになる。2025年には、経常収支が赤字に転じ、財政と併せて「双子の赤字」を抱える。
世界では人口が爆発的に増え、食糧やエネルギーの需給が逼迫。地球規模で環境問題も深刻になる状況下、日本は活力の乏しい国になる可能性がある。
日本のゼネコンは民間工事より2、3割単価が高い「公共事業」に頼り、高コスト体質に染まっている。韓国勢は人件費だけをみても現場監督クラスで日本の4分の1である。
通信業界も規制に安住していたため、海外の大手通信業界から国内市場を侵食されだしている。
電機などの消費材メーカーも、度重なるモデルチェンジをして国内の旺盛な需要を満たしていたが、国内需要が冷え込めば日本でもうけ海外で損する構図がくずれてくる。
映像ソフト業界(マンガ、アニメ、ゲームソフト、CG)は世界でも高い評価を得出しているが、特にマンガ、アニメ業界は体質が古いため、人材が海外に流れ出している。この業界の産業インフラ(映像作品ノ商品化権が少ない、フリーのプロテューサーがいない、映像専門の保険会社がない)が不足している。
業構造審議会は、96年11月の報告で「知識創造立国」を目指すことをうたった。構造改革を進めると、コンピューターソフトやコンテンツ産業の市場規模は、95年の約8兆円から21世紀初頭に50兆円に拡大
【防衛】
外国による武力侵略のような「血の流れる脅威」と並んで、大量の難民漂着や不法入国、政府や企業の活動を混乱させるコンピュータ犯罪、酸性雨による自然破壊など「血の流れない脅威」への備えが大切になる
世界中の軍隊が姿をかえる(防衛革命)のは、2020年頃、大部隊よりも、衛星情報をもとにした情勢分析や警察との連携で、血の流れない脅威にも効率よく対応する仕組みが重要。日本はここでも出遅れている。
21世紀にかけて起こりそうな混乱要因は、南北統一の可能性を含めた朝鮮半島での激変、中台関係、中国国内の情勢変化ーー大量の難民発生ーー日本には備えがない
自分で自分の国を守ろうとしない日本への不満は米国議会で根強く、今後米中が急接近し、相対的に日本の存在感が低下すれば、在日米軍の引き上げも考えられる。
【中国の成長と汚染の脅威】
中国・四川省の工業都市、重慶では、酸性雨の発生頻度は7割以上で、PHは強い酸性をしめす3.0に達成する時もある。主力エネルギー源の四川炭は硫黄含有率が高く、石炭ボイラーの大半が排煙から硫黄分を取り除く脱硫装置を備えていないため。今後、中国が成長すれば、その量は増える。この問題を政府は中国にいえない。
【法の番人】
規制緩和で行政が小さくなり、市場主導の経済社会となれば法の番人の役割は一層重要になるが、司法改革の動きは、今のところ鈍い。一因は、裁判官の少なさ、裁判官一人あたり国民人口を比較すると、日本の61千人にたいし、米国は、8.8千人、ドイツ4.4千人、フランス12千人。検事、弁護士もしかり。ーー国際的信用を失う。
【教育】
日本の学生は、OX式設問では、成績がいいが、物事を否定的にとらえるなど他面的に考え、自分の言葉で表現する能力は、国際平均を大きく下回る。学歴指数(指数の高いところほど高学歴がいい職業につながる)1位ドイツ 2.52、日本は1.34で13カ国中12位ーー意外なほど日本は学歴社会でなくなってきている。
2014年の受験者総数は少子化で今より3割も減り、合格率は90%を超える。2020年には、数字の上では、入試は意味をなくす。
【技術】
通産省工業技術院の東アジアにおける産業技術に関する動向調査(96年12月)ーー21世紀初頭に日本は半導体・鉄鋼で韓国、エレクトロニクスで台湾、電子機器組み立てで、中国、研究開発機能でシンガポールに抜かれる可能性が高い。
【高齢化】
厚生年金の支給開始時期を2013年までに65歳へ徐々にひきあげる方針、それに伴い、65歳までの定年延長が制度化される。 企業にとってはかなりの負担となる。
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