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何故、上司は部下の育成を第一プライオリティーにおかないのか? [人事3-人材育成・グローバル人材・評価]

  会社で仕事をするときにもっとも効果をあげるやり方は、チームをよくマネジメントすることです。そうすれば、個の力は、集団の力となり、個人では達成できない目標を達成できます。そして、チームをマネジメントするときにもっとも有効なのは、部下の育成に力点を置くことです。そうすれば、部下のスキルが向上するばかりではなく、上司との信頼関係も構築でき、チームとしての集団のパワーが発揮しやすくなるわけです。ということで、全てのマネージャーが、後進の育成を第一プライオリティーにすれば、その組織の生産性を最大限にできます。しかし、現実には、後進の育成を第一プライオリティーにしているマネージャーは、組織の1割程度しかいないのではないでしょうか。  

   これは、何故なのでしょうか。また、会社のトップがこの重要性を強調しても変わらないのは何故でしょうか。マネージャーにはあるパターンが存在すると思います。 

    A.既にプライオリティーを置いている層(10%)    この層は、会社よりAプレーヤーと認識されており、仕事で成果をあげるのは、チームを強化することが大切だと既に知っており、実践している。

     B.多少やっていたが、研修等などで、気づき変化する層(20%)    もともと、優秀な層で、常に成長したいとおもっている層。研修などがきっかけになる。また、A.B層とも、過去に後進育成に熱心な上司も下で働いた経験のある層。 

     C.育てて伸びる人材とそうでない人材がいると割り切っている層(20%)    これは、特にシニアマネジメントに多い。自分流のマネジメントスタイルがあり、他の話は聞かない。ある程度は、マネジメントができるので、そこそこのレベルまでは行くが、引き出しが少なく自己流をとおす、それ以上大きな組織を運営できなく、止まってしまう層。研修等には出ない。

     D.後進育成はやらなければならないことだと思ってはいるが、やりたいことではない層(40%)  これは、特にミドルマネジメントに多い。マネジメントの経験も浅く、自分で何でもやるタイプ。小組織なので、マネジメントや後進育成にプライオリティを置かなくても仕事が回ってしまうため、優先度を置かない。また、自分で仕事をやっているので、部下に割く時間が物理的にない。これをずっとやっていると当然ながら、シニアマネジメントにはならず、燃え尽き症候群になる可能性大。 

      F.マネジメントができないし、学ばない層(10%)     これは、年功序列で、マネージャーになるべきでないのに、間違ってなった層。D層は、まだ個人で仕事ができるが、この層は、個人でも仕事ができず、部下からある意味助けてもらっているレベル。360度評価などで、改善点を指摘されても改善を試みないタイプ。  

    会社は、マネージャー研修をして、皆、立派なマネジャーになってほしいと研修等に投資をしますが、実際は、30%のマネージャーにしか有効ではないことになります。しかもA層は、研修がなくても既にちゃんとやっているので、実際に有効なのは20%のみとなります。一般に、会社の研修はNice to doくらいの扱いでしかないのは、このためです。

     それでは、会社として、このC層以下のマネージャーにどういうアプローチをとればいいのでしょうか。

      C層の場合;新興宗教に入会させるときの常套手段は、「自己破壊」だそうです。まず、その個人の価値観を破壊し、新たな価値観を植え込む。人が考え方を変えるのは、特に、シニアの場合は容易ではない。よって、ある程度の自己破壊が必要です。それには、「ジョハリの窓」の自分が知らなくて、他者がしっている領域を見せることです。具体的には、360度評価が有効ですが、立場上、そんなに厳しい評価はされないし、健康診断と同じで、たまにやってもすぐ机の引き出しにいれてしまい、二度と見ないということになる場合が多いのではないでしょうか。この層に有効なのは、「Executive Coaching」です。これは、最初に、濃い360度調査をやり、しかもそれをコーチと共有するので、改善点は浮き彫りになりますし、隠しようがありません。また、改善策は、自分で決めるので、どうしてもやらざるおえなくなり、仕事が忙しいと忘れようとしても、コーチが毎回、チェックをいれるので、ほおっておくこともできません。ただし、費用が非常に高いという難点はあります。

       F層の場合;この層は、もともと間違ってなった層なので、マネジメントから外してあげるのが筋です。そうしないと、部下が辞めたり、会社へ多大な損失を与えます。個人プレーヤーとしてのキャリアを積ませるようなキャリアアドバイスが必要となるでしょう。

       D層の場合;この層(40%)をどうするかが一番大きな課題です。この層の特徴は、上司に恵まれなかったこともあったのでしょうが、後進の育成が何故必要かということが身体で認識していません。部下が今までいなかった、または非常に少数だった不運もあります。ミドルマネジメントに多くみられます。この層は、部下がスキルアップするのは、自分でやるべきで、上司が教育していくものではないと自分の経験を通して思っています。たまに優秀な部下に遭遇するとそれを確信します。この層をほっておくと、その部下たちも同じような上司になる可能性が高いので、ほっておくのは、会社にとって大きなRiskとなります。日本の場合は、部下がやめないので大きな問題にならないこともあります。

   この層には、従業員調査の結果をKPIに入れる、360度評価をやる等様々な試みをやっても、効果が有効なのは、A,B層ばかりで、ここの層を変化させるのは、非常に難しいものがあります(多少は効果がありますが)。いっそダイレクトに、後進の育成度というのを査定の中に組み込むということも一案としてあります。「後進の育成がこんなにも楽しく、仕事を達成するのにいかに有効か」というのがわかることが大切なのですが、査定に組み込むことをトリガーにして、そういう効果を実体験させて、そういう方向に導くのがいいのかもしれません。P&Gは、この方法をやっています。査定の半分は、マネジメントや後進の育成になっているそうです。また、組織にジュニアな社員がいることも後進育成にMotivationが上がると思います。ジュニアな若者は「成長したい」という意欲が強いので、育成し甲斐がでます。組織の若返りはそういう意味でも重要です。


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コメント 4

シマダミツヒロ

今回もグッときました。勉強になります。僕も実践せねば。
by シマダミツヒロ (2012-03-05 06:39) 

シマダミツヒロ

久しぶりにP&Gのサイトも観ました。改めて勉強になりました。http://pgsaiyo.com/campus/about/career/index.html
by シマダミツヒロ (2012-03-05 06:53) 

Nasser

このテーマは、難易度が高いですね。今、社内コーチングをまず、駐在員の間で試験的にやってみています。結果によっては、全社に広げようと、、。
by Nasser (2012-03-05 12:37) 

シマダミツヒロ

ビジネススクールでいろんな授業に出ましたが、殆ど組織と人の話に帰着していました。「結局は、人。それが全て」という話でした。社内コーチングの全社展開!いいすね。
by シマダミツヒロ (2012-03-05 13:57) 

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