SSブログ

渋沢栄一の「論語講義」 [D4.経営戦略]

渋沢栄一の「論語講義」 (平凡社新書)

渋沢栄一の「論語講義」 (平凡社新書)

  • 作者: 渋沢 栄一
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2010/09/16
  • メディア: 新書

  この本はまたいいですね。「算盤を手にとって財産を得ようとすることは、決して悪いことではない。しかし、算盤の基礎を社会主義のための道徳の上に置かなければならない。わたしは明治6年に官僚を辞めて、民間に下り、実業に従事してから50年、少しもこの信念から離れなかった。あたかもマフォメットが「片手に剣、片手にコーラン」をかざして世界に臨んだように、「片手に論語、片手に算盤」をかざしながら今日に及んだのである。」という言葉を85歳の時に残したのだそうです。これは凄いことです。人間「徳」ですよ、生きている価値は。

 こういう人と話をしてみたいですよね。

  また、ドラッカーが注目し、経営の本質を学んだのが、渋沢栄一であったそうです。ドラッカーと栄一、そして「論語」の主人公ともいえる孔子、この3人の関係は実にある切り口から一つの線に結ぶことができまう。それは、「社会や組織、そして人の末永い繁栄は、いかに達成されるのか」という課題を、自らの時代状況に照らし合わせつつ考え抜いた点なのだそうです。

 孔子は、2500年前のBC550年ころの人で、魯の役人をしており、68歳から73歳までの5年間で、門人を教育して人の生きる道や理想の政治制度を伝えたそうです。

以下印象に残った話は、

●政治の基本は、徳である。徳とは、たとえて言えば北極星のようなもの、デンと真ん中に座っているだけで、他の星は全てその周りを整然とめぐっている。
●孔子が言った。「読書ばかりに耽って思索を怠ると、せっかくの知識が身に着かない(論語読みの論語知らず)。逆に、思索にばかり耽って読書を怠ると、独善に陥ってしまう(物事の道理の全体像を知らないままになってしまう)。
●孟子いわく「敵国や外部からの脅威がないと、国は必ず滅んでしまう(敵国外患なきものは国恒に亡ぶ)」やたらと人に屈従せず、よく他と争って、正しい勝ちをものにするという精神があってこそ進歩や発達は訪れる。争いを避けない覚悟がなければ、世の中に出て成功するものではない。
●孔子は4つの欠点を免れていた。第一に、主観だけで憶測すること。第二に、自分の考えをしゃにむに押し通すこと。第三に、一つの考えだけに固執すること、第四に、自分の都合しか考えないこと(子、四を絶つ。意なく、必なく、固なく、我なし)
●過ぎ去った時間に後から後悔しても、もう届かない、学問を志すものは、わずかな時間も惜しんで学問に努力せよ(少年老い易く学成り難し、一寸の光陰軽んずべからず)
●孔子が言った。「冬の寒さが厳しくなったときに、はじめて、松や柏がいつまでも凋まないで寒気に耐えていることを確認できるのである。」世の中で何もない平穏な時期には、人々はみな似たり寄ったりに見える。しかし、一旦利害を争ったり、大きな変化に遭遇すると、つまらない人間はみな畏縮して利益の方になびき、自分の身を守ろうとする。ところが人の道を学んだ立派な人間だけは、正しい物事の道筋を守って、生死や禍福のために心を動かさない。その様子が、まるで、寒い時期の松や柏のようだ、とたとえられたものなのだ。
●孔子が言った。「君子は生涯に3つのことを警戒しなければならない。青年時代は血気がまだ定まらないので、色欲を警戒する。壮年期は血気が満ち溢れてくるので、闘争心を警戒する。老年期には血気が衰えてくるので、物欲を警戒する」人にみな共通しているのは「血気」-人のもともと持つエネルギーだ。立派な人間もつまらない人間も、男子も女子もこれはみな持っている。人において違っているのは「志気」-個人の意気込みだ。「血気」は年に従って盛衰するが、志気は時間によって盛衰するものではない。若いうちに安定せず、壮年期は満ち溢れ、老年期に衰えてくるのは「血気」の方だ。一方、色欲を警戒したり、闘争心を警戒したり、物欲を警戒したりといったことの主体になるのは、「志気」の方だ。だから、立派な人間は「志気」を普段から養い続けて。「血気」に左右されないようにする。このためどんなに年をとっても、高い徳を身につけ続けられるのだ。つまらない人間というのは、この逆をやってしまうわけだ。

最後にこうも言ってます。

人は釈迦やキリストになることは難しくても、孔子のようになるのはそう難しくないのだ。なぜなら我々とは次元の違う釈迦やキリストに届くことは無理でも、同じ次元の発達した孔子ならなれるというのが理屈だからだ。ただ厭きずに努力すればよい。

今年78冊目


スポンサードリンク


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

Koh Samui ResortMuay Thai Boxing ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。