The Paradox of Choice 豊かさが招く不幸 [D3.心理学・哲学]
From Publishers Weekly
つい最近までビービー泣いていた次女も今は大学で心理学を勉強するような年ごろになってきました。彼女に学校で学んでいることを教えろといったら、学校で使った教材のコピーを数枚くれました。日経サイエンスのでていたスワスモア大学のB.シュワルツ教授の論文です。
「今日の米国人の生活では,何かを選ぶ機会もその際の選択肢の数も以前よりずっと多くなった。ある程度までは,選択の機会があることで私たちの生活はより豊かになる。魅力的な選択肢があるのなら,その数が多い方がいいだろう。理屈の上ではそうなる。たくさんの選択肢の中から選びたいという人はその数が多ければ喜ぶだろうし,そうでない人はまだ食べたことのないコーンフレークの類が273種類もあると知っても気にならない。だが最近の研究は,心理学的にはこの仮定が間違っていることを明確に示している。確かに選択肢はないよりはあった方がいいが,多ければいいとは限らないのだ。これは大規模な社会動向とも一致する。ホープ・カレッジのマイヤース(David G. Myers)やエール大学のレーン(Robert E. Lane)などさまざまな社会学者が,人々の幸福感を調べている。それによると,米国のような豊かな社会では,選択肢や豊かさの増加にともない,実際には幸福感が低下していることがわかった。」という話です。
数千人のアンケートによると「常に最良の選択を追求する追求者Maximizer」は1/3(全体の10%が極端な追求者) 「他にもっといい選択肢があろうとなかろうと満足できるものを目指す満足者Satisficer」も1/3(全体の10%が極端な幸福者)だそうです。私は完全にMaximizerですね。一般的に追求者は満足者より満足感、幸福感や楽観性が少なく、抑うつ傾向が強いそうです。
ある選択肢の良し悪しは、他と比較しなくては評価できない。何か決めるときのコストの一つに、別の選択肢にすれば得られたはずの機会を失うことがある。この機会費用のために、選択肢が多ければ多いほど引き算されるものも多くなり、最終的な決定から得られる満足感は小さくなっていくのだそうです。損失(この場合は機会費用)は利益よりも心理的にずっと大きな影響を及ぼすからです。また、「順応」という現象も、最終的に決定したものにあきをこさせるので、上記を加速させます。
よって、選択できるということは、人間にとって非常に重要なプラスの効果をもたらしますが、それには限度があり、直面する選択肢の数が増えるにつれ、心理的な利益は横ばいになり、やがてマイナス効果が増大するということです。
また、どんな人が幸福と感じているかですが、それは、所得にも教育レベルにもほとんど差はないそうで、「自分自身が好き」「主体的」「楽観的」「外向的」な特徴を持っている人が幸福と感じているそうです。
マレーシアのキャディさんもこんな感じでしたね。給料いくらもらっているか知りませんが、私にクッキーくれましたもの。
家電の大型量販店は品ぞろえの豊富さを売り物にしていますが、必ずしもそれが人を幸せにはしてないかもしれませんね。
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