「企業年金」とは、企業が公的年金の厚生年金とは別に従業員のために任意で設ける年金制度。日本の年金は3層構造で、全国民に共通する国民年金が「1階部分」、会社員らが報酬に比例して受け取る厚生年金保険などが「2階部分」。これらの公的年金に上乗せする「3階部分」が企業年金などの私的年金です。

 「国民年金(老齢基礎年金)」20歳から60歳になるまでの40年間の全期間保険料を納めた方は、65歳から満額の老齢基礎年金が支給されます。満額は、平成27年4月分からの年金額 780,100円/年 65,000円/月 です。大卒の方は、20歳の頃は、まだ学生で、学生納付特例制度を受けて年金を払わないので、60歳からは満額支給ではありませんので、約70万円/年(5.85万円/月)くらいになります。また、最大5年(他年金の権利が発生するまでの間)の繰上げ・繰下げ支給制度もあります。企業労働者は厚生年金に加入しなければならず、その中に国民年金も含まれています。厚生年金は、掛け金も受給額も給与などの月額報酬額を元に計算されますが、国民年金分は、掛け金も受給額も一定ですので、この部分は報酬に対して一定と言えます。

 「厚生年金」厚生年金は、会社(法人)にお勤めの70歳未満の方は、基本的に全員加入しなければなりません。保険料は、2004年の政府の年金改革で、同年から毎年0.354%ずつ引き上げられ、2017年(平成29年)以降は18.3%とすることが決まりました。(「保険料水準固定方式」といいます。) 会社と本人が半分ずつ負担します(労使折半)。

http://think-nenkin.jp/payment/

   サラリーマンや公務員の妻(配偶者)が第3号被保険者となります。第3号被保険者は、年金保険料を納めることなく、国民年金加入と同等の権利が得られます。平成25年度の国民年金の月額保険料は約15000円なので年18万円ほどの保険料が事実上免除されていることになります。(配偶者(第2号被保険者)が保険料負担をしているという点もありますが、第2号被保険者の保険料は配偶者の有無によって変化はないため、第3号被保険者を持たない世帯がその分を負担していることになる)。

    さて、肝心の受給額ですが、年金の受給額は2014年現在「物価スライド」と「マクロ経済スライド」と呼ばれる二つのスライド制度によって変更されることになっています。2004年までは「物価スライド」といって賃金や物価などの伸び(消費者物価指数)を元にして年金額を変更してきました。たとえば、物価が2%上昇したら、それに応じて年金受給額も2%上昇すると言った具合です。しかし、それでは、破綻してしまうので、マクロ経済スライドがとられることになっています。これは「公的年金の被保険者の減少率、平均余命の伸び」を調整するために年金給付額を減らすというもので、2023年までは年0.9%の調整が行われるようになっています。つまり、物価が上昇した場合であっても、物価スライドによってその物価上昇分は全部年金受給額に反映されるのではなく、マクロ経済スライド分(0.9%)は伸びが抑制されます。また、マクロ経済スライドは「名目年金額は減らさない」としています。つまり、物価上昇(下落)が0.9%以下の場合には年金の伸びがゼロにとどめられます。

  そして支給開始は、基本65歳からになりました。妻が65歳未満の場合は、「加給年金」を申請(18,500円/月)できます。しかし、夫がリタイヤしている場合は、妻が60歳までは、第1号被保険者になり、国民年金保険料を払わなくてはなりません。

 「遺族年金」老齢年金受給者の夫が亡くなった場合は、妻は、自身の「老齢基礎年金」に加えて夫の「老齢厚生年金」の3分の2が受給できます。約25万円の年金が15万円になるということです。妻が65歳未満の場合は、自身の「老齢基礎年金」はもらえないので、65歳にあるまでは、「中高齢寡婦加算」という制度を使います。加算される額は、月額48,300円(平成26年度)です。

 今年の国会には提出が見送られましたが、「年金改革」の議論は進んでおり、今後、改革されるようです。