【日経新聞 2015年4月27日 夕刊】

  気象データを活用して食品の生産を調整すれば、地球温暖化の原因となる無駄な二酸化炭素(CO2)を3~4割減らすことができる。日本気象協会(東京)が、販売数が日々の天気や天候に左右されやすい冷やし中華のつゆと豆腐について調べたところ、こんな可能性が導き出された。





 気象協会が用いたのは、商品の売れ行きを把握する「販売時点情報管理(POS)データ」などに、気象データと組み合わせて需要を予測する手法。これまでは製造や流通、販売の各社が独自にしていた予測を、気象協会が情報を一元的に把握して試みた。



 分析したのは、南関東における2009年から数年分の売れ行き。冷やし中華のつゆの売り上げは、気温が上昇すると伸びるものの、夏の暑さのピーク前に伸び悩むことが判明。豆腐はその日の気温より、10日程度前からの気温の変化と関係が強いことを発見した。



 気象協会はこれらのデータから需要を予測する数式をつくり、過去にさかのぼって実験してみたところ、実際の売り上げの動きとほぼ一致した。予測に基づいて生産を調整していれば、返品や廃棄などを減らすことができる上、無駄に発生しているCO2は冷やし中華のつゆで4割(夏の終わりの生産量比)、豆腐で3割を削減することができたとしている。



 気象協会は今後は対象をアイスコーヒーなどにも広げる予定という。