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パゴタの秘密 (1) [C2 ブログ(書き)]

この物語は、フィクションであり、実在する人物、団体などとは、一切関係はありません。

インドシナ半島。世界情勢の中で、あまり重要でないこの半島が、にわかに重要になってきたのは、1985年、ソ連の崩壊により、事実上冷戦がなくなった頃からである。

冷戦後、アメリカにとって脅威のある国は、中国をおいて他にない。「天安門事件」で見せた中国の危険性、その後も続く中国経済の肥大化に脅威をいだいたのは、アメリカのみならず西側よりの東南アジア諸国である。

よって、冷戦後、シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、台湾、フィリピン等の諸国の軍事費は、著しく上がっていくという皮肉な結果になってきた。アメリカも、中国が脅威になってきたとはいいながら、その影響で、アメリカの基幹国家産業である軍事ビジネスに好調になるという、よきにつけ、あしきにつけ、アジアの情勢は世界的に重要となってきている。

そんな中、インドシナ半島の国々は、タイを除いて、どちら側というわけでもなく、国力もなかったので、さほど関心をよんではなっかた。あえて言えば、これらの国々は、中国と西側諸国の緩衝地帯になっているということであった。

1995年、アメリカは、ベトナム戦争以来、国交を断絶していたベトナムと国交を樹立し、IMF援助、ASEAN加盟という甘い言葉のもと、西側の一員にした。

ラオスは、ほとんど山岳地帯ばかりの貧しい国であるが、タイとの交流が密で、どちらかというと西側ということになっていた。

最後に残ったのが、旧ビルマのミャンマーである。中国にとっては、インド洋へでられる海へのルートが、ミャンマーと協力体制をとると可能になるし、アメリカや西側東南アジアにとって、ミャンマーが西側につけば、東南部のアジア地域から「封じ込み」ができるということになるので、重要なポイントとなるのである。

ミャンマーは、「鎖国政策」をとっていて、東でも西でもなく、しかも、軍事政権という特異な政治体制をとっていた。

また、この国は、数十の人種からなり、北と南では、言葉も習慣も違うという複雑な状況で、タイやラオスの国境付近には、カレン族、シャン族などの部族がおり、しかも、半独立をとっており、ミャンマー政府の支配下に入っていないという複雑な国である。

政府の監督下に属さないので、ケシの花を栽培し、あの有名な麻薬王プーリを生んだのもこのラオス、タイ、ミャンマーの国境が接する魔の三角地帯「ゴールデン トライアングル」のシャー族である。ちなみに、ミャンマー政府は、ビルマ族中心である。

シャー族は、麻薬を売った資金で、自衛軍をつくるという構図ができているので、ミャンマーは、多大な軍事費をこのために支出している。よって、国の近代化のためには、早急な統一国家の樹立が急務であった。

アメリカとしては、軍事的にも、ミャンマーを西側に取り込みたい。そのために、まず、国を統一させたいということと、もっと重要な事、つまり、アメリカ国内を悩ませる「麻薬」の根元を破壊するのは、ミャンマー政府よりも、切実であった。

隣国、タイにとっては、国境地帯が、ミャンマー政府の支配下ではなく、反乱軍の支配下になっているので、難民のミャンマーからの流入は、国境地帯の治安の悪化を招き、頭を悩ます問題であった。

よって、ミャンンマー政府のみならず、特にアメリカ、タイ、東南アジア、中国にとって、麻薬王プーリの率いるシャー族の鎮圧は、非常に重要なことなのである。

ところで、そんな他民族のミャンマーを精神的に統一しているのが「仏教」である。国々のあちらこちらに数千のパゴタ(仏塔)が立ち、町には、僧侶が托拝をしているのが、いつも見られる光景で、ミャンマー人であれば、皆、成人したら、数年に一度、頭を丸め、寺にこもることも習慣化している。

タイは、王制をひいており、ビンタン王のもとに、全てが統一されており、ここもまた敬虔な仏教国である。その精神的な頂点にたつのは、国王であり、その国王一族は、タイでは、絶大な力を持っている。


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